「追悼 原田康子」コーナー


《ありし日の原田康子さん 2004年10月撮影》
 『挽歌』(1951年)から『海霧』(2002年)まで、多くの小説を世に送り、更に次の作品への構想を語っておられた作家の原田康子(本名・佐々木康子)さんが、去る10月20日未明に札幌市内の入院先で逝去されました。81歳でした。

 原田康子さんは、『挽歌』(女流文学者賞受賞)による全国的なブームの後、59年に釧路から札幌に転居され、その後は札幌を拠点として執筆活動を続けてこられました。その傍ら、永年にわたって北海道新聞文学賞の選考委員を務められ、また北海道文学館が発足翌年の68年からは評議員・顧問として文学館活動を支えてくださいました。2005年の9月〜11月にかけて当館特別展示室で特別企画展「原田康子と北海道 〜小説『挽歌』から50年〜」が開催され、作家の故・吉村昭氏が夫人の津村節子氏(作家)とそろって駆けつけてくださったことも記憶に新しいところです。

 2年ほど前から原田康子さんは不調を訴えてはおられましたが、『海霧』の文庫化のあとは長編新作を書き上げたいとの意欲を示され、先の戦争にかかわる資料の読み込みなど準備を進めておられました。書くことへの強い意志にもとづき、短篇「五月晴朗」を発表されるなど、ギリギリの体調のなかでその作家魂は衰えを見せなかったのです。

 しかしながら、今春3月に再び入院され、薬効甲斐なく、世を去ってしまわれました。次作の発表を期待していた私たち以上に、原田康子さんご自身がさぞや残念であったのではあるまいか、と思わずにはいられません。ここに、生前の原田康子さんを偲びつつ、哀悼の思いをかたちに表そうと、北海道立文学館では「追悼 原田康子」と題した企画展示を用意いたしました。この展示では、『挽歌』をはじめとする文献、「冬の月」(『蝋涙』所蔵)直筆原稿、色紙、在りし日の姿を偲ぶ写真パネルなど当館所蔵の資料を公開します。故人となられた原田康子さんの文業に思いを馳せていただきながら、ご覧いただければ幸いです。

会期

平成21(2009)年11月14日(土)〜12月27日(日)
9:30〜17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日(但し11月23日(月・祝)は開館)


会場

北海道立文学館1階ロビー

観覧料

無料

 
「追悼 原田康子」 のようす