常設展「北海道の文学」

 
 常設展示室は1年を通して公開しています。ここでは、「北海道の文学」と題して、アイヌ民族の文学、小説・評論、詩、短歌、俳句、川柳、児童文学など、幅広い分野にわたって、それらの概要を紹介しています。当館所蔵の約26万点の資料から精選し、直筆原稿や初版本、書簡、色紙、短冊などの資料を通して、この北の地を舞台に展開された文学の多様な営みを知ることができます。  
 なお、新たに収蔵された資料は、常設展示室内の「文学館アーカイブ」コーナーで年間3回
に分けて展示しています。なお、文学館アーカイブは、常設展の観覧料金でご覧いただけます。その他、文学館アーカイブの詳細については、こちらをクリックしてください。 
 

常設展「北海道の文学」観覧料金

一般400(320)円 高大生200(150)円 
中学生以下・65歳以上無料 ( )内は10名以上の団体料金です。
※観覧料が免除になる場合があります。詳しくは、こちらをご覧ください。

 

常設展「北海道の文学」展示構成 

「誕生から現代まで」 「さまざまなジャンル」
.「アイヌ民族の文学」 「北海道の児童文学」
「北海道の詩」
「助走期の苦闘」 「北海道の短歌」
「漂泊と彷徨」 「北海道の俳句」
「道産子作家の誕生」 「北海道の川柳」
「逆流のさなかで」 「千島・樺太の文学」
「モダニズムの台頭」 「読書コーナー」
「戦火の中で」 .「作家の直筆原稿コーナー」
「復興と再生」 「新聞コーナー」
「成長期の精華」 「北海道の文学碑検索コーナー」
「変転する現代」 「文学館アーカイブ」
【資料】常設展展示資料リスト(PDF形式:380KB 新しいウィンドウが開きます)

アイヌ民族の文学

 北の大地に先住したアイヌ民族は、神を敬いながら自然と共生するなかで優れた文化を育んできました。「ユーカラ」に代表される口承文学の存在は世界的に知られています。 

おもな作家・文学者

バチェラー八重子(ばちぇらー やえこ)
1884(明治17)年〜1962(昭和37)年

宗教家、歌人。
英国人で聖公会牧師・アイヌ研究家ジョン・バチェラーにより洗礼を受け、のちに養女となる。同胞のために祈り、伝道する生活を送る。歌集『若きウタリに』(1931年(昭和6)年)を出版。 

違星北斗(いぼし ほくと)
1901(明治34)年〜1929(昭和4)年

歌人。アイヌ民族を思う悲痛な叫びを綴る。28歳の若さで病没。
「アイヌという新しくよい概念を内地の人に与えたく思う」
(遺稿集『コタン』(希望社、1930(昭和5)年より)

森竹竹一(もりたけ たけいち)                 
1902(明治35)年〜1976(昭和51)年

歌人・詩人。アイヌの青年の心情を赤裸々に告発する作品を発表した。『若きアイヌの詩集−原始林』(1937(昭和12)年)、『今昔のアイヌ物語』(1955(昭和30)年)を自費出版。

鳩沢佐美夫(はとざわ さみお)
1935(昭和10)年〜1971(昭和46)年

小説家。同人雑誌「日高文芸」を創刊。アイヌ問題を内と外から告発した「対談・アイヌ」を発表。

知里真志保(ちり ましほ)
1909(明治42)年〜1961(昭和36)年

アイヌ学、言語学者。北海道大学教授。学生時代から、自らの民族の固有の言語・文化に関する論文を発表し、独自のアイヌ学の確立を目指した。

知里幸恵(ちり ゆきえ)
1903(明治36)年〜1922(大正11)年

ユーカラ伝承者。アイヌ自身による初めての神謡の記録『アイヌ神謡集』(1923)を出版。19歳の若さで夭折した。

萱野茂(かやの しげる)
1926(大正15)年〜2006(平成18)年

アイヌ文化研究者。アイヌ語の研究と民具の収集保管に専念した。1994(平成6)年から98(平成10)年まで参議院議員を務める。

金成マツ(かんなり まつ)                      
1875(明治8)年〜1961(昭和36)年

ユーカラ伝承者。知里幸恵、高央、真志保ら三姉弟の叔母。約160冊のユーカラノートを残した。

20世紀への胎動

  「蝦夷地」と呼ばれたこの北の大地が「北海道」と命名されたのは1869(明2)年のことです。以降、道外から多くの人々が入植しました。
1976(明9)年には、札幌農学校が開校。初代教頭としてW・S・クラークがアメリカより招かれ、そのもとから新渡戸稲造や内村鑑三など多くの俊才が生まれました。

おもな作家・文学者

間宮林蔵(まみや りんぞう)             
1775(安永4)年〜1844(天保15)年

探検家。1800(寛政12)年、北海道(蝦夷地)に渡り、実測中の伊能忠敬の教えを受ける。またサハリンなど北方を探険し『東韃地方紀行』などの本にまとめた。

松浦武四郎(まつうら たけしろう)         
1818(文政元)年〜 1888(明治21)年

探検家。北海道(蝦夷地)、樺太、国後島、択捉島を探険した。著作に『三航蝦夷日誌』『竹四郎廻浦日記』がある。北方防備の必要性や場所請負人たちの無策な経営とアイヌ民族に対する過酷な扱いの改善などを訴えた。

榎本武揚(えのもと たけあき)                  
1836(天保7)年〜1908(明治41)年

旧幕臣。政治家。戊辰戦争では、函館の五稜郭で抗戦するも、官軍に破れる。その後、許されて開拓使に入った。1875(明治8)年には、樺太千島交換条約の締結に成功する。著作に『シベリア日記』ほか。

W・S・クラーク(うぃりあむ すみす くらーく)   
1826(文政9)年〜 1886(明治19)年

米国マサチューセッツ州出身。札幌農学校教頭。教育体制の整備に当たるとともに、自ら英語と植物学の講義も担当、内村鑑三など優れた人材を育てた。

内村鑑三(うちむら かんぞう)                    
1861(万延2)〜1930(昭和5)年

東京都(江戸)出身。札幌農学校一期生。キリスト教思想家。代表作に『余は如何にして基督信徒となりし乎』など。

新渡戸稲造(にとべ いなぞう)             
1862(文久2)〜1933(昭和8)年

南部藩盛岡出身。札幌農学校二期生。農業経済学者。教育者。代表作に『農業本論』、『武士道』など。

助走期の苦闘

 有島武郎が北海道の文化活動に与えた影響には大きなものがありました。
母校の東北帝国大学農科大学(現:北海道大学)で英語講師を務めた有島はそのかたわら、独立教会役員、日曜学校長、遠友夜学校代表の任を引き受けるとともに、学内に美術団体黒百合会を創立しました。

おもな作家・文学者

有島武郎(ありしま たけお)                   
1878(明治11)年〜1923(大正12)年

東京都出身。代表作に『カインの末裔』『或る女』『惜しみなく愛は奪ふ』など。

漂泊と彷徨

 日本のなかの異風土として、近代北海道は徐々にその存在が知られるようになりました。全国からの移住者の中には後の文学者の存在もあり、幸田露伴、国木田独歩らは、<来道文学者>として北海道の文学史に名を残しています。

おもな作家・文学者

国木田独歩(くにきだ どっぽ)                  
1871(明治4)年〜1908(明治41)年

東千葉県出身。1895(明治28)年滞道。代表作に『武蔵野』『牛肉と馬鈴薯』『空知川の岸辺』など。

幸田露伴(こうだ ろはん)               
1867(慶応3)年〜1947(昭和22)年

東京都出身。1885(明治18)年から1887(明治20)年にかけて滞道。代表作に『五重塔』『突貫紀行』など。

岩野泡鳴(いわの ほうめい)                   
1873(明治6)年〜1920(大正9)年

兵庫県淡路島出身。1909(明治42)年滞道。代表作に『放浪』『発展』『耽溺』など。

葛西善蔵(かさい ぜんぞう)             
1887(明治20)年〜1928(昭和3)年

青森県弘前市出身。1889(明治22)年から1891(明治24)年、1897(明治30)年から1899(明治32)年にかけて滞道。代表作に『悪魔』『雪をんな』『子をつれて』など。

道産子作家の誕生

 北海道には、19世紀中ごろにかけて全国各地から多くの人々が「開拓者」として流入しました。その子弟のなかから、20世紀初頭の日本文壇史に名を残す人々が現れます。武林無想庵は北海道出身作家第一号として、森田たまは北海道出身女性作家第一号として知られています。

おもな作家・文学者

武林夢想庵(たけばやし むそうあん)       
1880(明治13)年〜1962(昭和37)年

札幌市出身。1884年まで滞道。代表作に『むさうあん物語』など。

子母沢寛(しもざわ かん)                    
1892(明治25)年〜1968(昭和43)年

厚田村出身。代表作に『新選組始末記』『勝海舟』『蝦夷物語』など。第10回菊池寛賞(1962(昭和37)年)を受賞。

中戸川吉二(なかとがわ きちじ)          
1896(明治29)年〜1942(昭和17)年

釧路市出身。代表作に『イボタの蟲』『反射する心』など。

森田たま(もりた たま)                       
1894(明治27)年〜1970(昭和45)年

札幌市出身。代表作に『もめん随筆』『石狩少女』など。

素木しづ(しらき しず)                 
1895(明治28)年〜1918(大正7)年

札幌市出身。代表作に『松葉杖をつく女』『美しき牢獄』など。

逆流のさなかで

 ロシア革命(1917年)、第一次世界大戦の終結(1918年)の激動の波は日本にも押し寄せ、文学者もそれの影響を受けています。特に小林多喜二などプロレタリア文学運動を担う作家は、社会的矛盾の解決を念頭に、実際の運動に身を投じて自らの信条を貫こうとしました。

おもな作家・文学者

小林多喜二(こばやし たきじ)                  
1903(明治36)年〜1933(昭和8)年

秋田県出身。代表作に『一九二八年三月十五日』『蟹工船』『轉形期の人々』など。

久保栄(くぼ さかえ)                 
1900(明治23)年〜1958(昭和33)年

札幌市出身。代表作に『火山灰地』『五稜郭血書』『のぼり窯』など。

島木健作(しまぎ けんさく)             
1903(明治36)年〜1945(昭和20)年

札幌市出身。代表作に『癩』『獄』『第一義の道』『再建』など。

本庄陸男(ほんじょう むつお)                 
1905(明治38)年〜1939(昭和14)年

石狩当別町出身。代表作に『白い壁』『女の子男の子』『石狩は懐く』『石狩川』など。

葉山嘉樹(はやま よしき)              
1894(明治27)年〜1945(昭和20)年

福岡県出身。代表作に『海に生きる人々』『淫売婦』など。

モダニズムの台頭

 欧米の新しい文化的潮流を意識し、その潮流に自らの関心を寄り添わせ、新しいと思われる素材や手法を積極的に反映させようとする「モダニズム」の傾向が台頭してきます。伊藤整は、イギリスの作家J・ジョイスの「意識の流れ」を創作手法に導入した。しかし、昭和初期のこのようなモダニズムの傾向は、戦争の大きな流れに回収されてしまいます。

おもな作家・文学者

伊藤整(いとう せい)                 
1905(明治38)年〜1969(昭和44)年

松前町出身。代表作に『雪明りの路』『馬喰の巣』『街と村』『伊藤整氏の生活と意見』など。第11回菊池寛賞(1963(昭和38)年)を受賞。

岡田三郎(おかだ さぶろう)             
1890(明治23)年〜1954(昭和29)年

松前町出身。代表作に『涯なき路』『母』など。

長谷川海太郎(はせがわ かいたろう)          
1900(明治33)年〜1935(昭和10)年

新潟県出身。函館に育つ。三つのペンネームを駆使し、異なるジャンルで活躍した。代表作に『テキサス無宿』(筆名・谷譲次)『丹下左膳』(筆名・林不忘)『浴槽の花嫁』(筆名・牧逸馬)など。

戦火の中で

 1931年の<満州事変>から15年に及ぶ戦時体制によって、大政翼賛会(1940年)や日本文学報国会(1942年)の結成が端的に示す<国策文学>一色の状況や出版・言論統制は敗戦まで続きました。このような流れにあっても、寒川光太郎や八木義徳の芥川賞受賞など、記憶されるべき文学的成果もあります。

おもな作家・文学者

寒川光太郎(さむかわ こうたろう)             
1908(明治41)年〜1977(昭和52)年

浦幌町出身。代表作に『密猟者』など。第10回芥川賞(1939(昭和14)年)を受賞。

辻村もと子(つじむら もとこ)                  
1906(明治39)年〜1946(昭和21)年

岩見沢市出身。代表作に『馬追原野』『風の街』など。第1回樋口一葉賞(1942(昭和17)年)を受賞。

石塚喜久三(いしづか きくぞう)          
1904(明治37)年〜1987(昭和62)年

小樽市出身。代表作に『纒足の頃』『花の海』など。第17回芥川賞(1943(昭和18)年)を受賞。

坂本直行(さかもと なおゆき)                 
1906(明治39)年〜1982(昭和57)年

釧路市出身。代表作に『開墾の記』『原野から見た山』など。

復興と再生

 終戦後すぐに北海道内の文学活動は始まり、戦中に休眠していた作家の活動再開、さらに北海道出版文化祭や北海道大学法文学部新設によって加速されました。北大法文学部に着任した風巻景次郎は、北海道の国文学研究を基礎を固め、そのもとから優れた研究者が巣立った。

おもな作家・文学者

風巻景次郎(かざまき けいじろう)             
1902(明治35)年〜1960(昭和35)年

兵庫県出身。代表作に『四十度圏の幻想』『風巻景次郎全集』など。

近藤潤一(こんどう じゅんいち)                 
1931(昭和6)年〜1994(平成6)年

函館市出身。「壷」主宰。評論活動のほか句集に『雪然』『秋雪』など。

和田謹吾(わだ きんご)                       
1922(大正11)年〜1994(平成6)年

東京都出身。代表作に『風土の中の文学』『自然主義文学』『島崎藤村』など。(財)北海道文学館2代目理事長。

亀井勝一郎(かめい かついちろう)            
1907(明治40)年〜1966(昭和41)年

函館市出身。代表作に『我が精神の遍歴』『北海道文学の系譜』など。第13回菊池寛賞(1965(昭和40)年)を受賞。

船山馨(ふなやま かおる)              
1914(大正3)年〜1981(昭和56)年

札幌市出身。代表作に『石狩平野』『お登勢』『茜いろの坂』など。第14回小説新潮賞(1968(昭和43)年)。第15回(1981(昭和56)年)吉川英治文学賞を受賞。

八木義コ(やぎ よしのり)                     
1911(明治44)年〜1999(平成11)年

室蘭市出身。代表作に『劉広福』『私のソーニャ』など。第19回芥川賞(1944(昭和19)年)、第28回読売文学賞(1976(昭和51)年)、第38回菊池寛賞(1990(平成2年))を受賞。

成長期の精華

 高度経済成長やそれに伴う消費社会の流れの中で、、人々の暮らしとともに、文学も変質を余儀なくされた。この時代は、原田康子、三浦綾子らがブームケーカーとしてマスコミに取り上げられ、「北方文芸」などの文芸誌からは全国的に注目される批評家が現れ、北海道は<評論大国>と呼ばれた。

おもな作家・文学者

小笠原克(おがさわら まさる)                  
1931(昭和6)年〜1999(平成11)年

小樽市出身。評論誌「位置」主宰。1968(昭和43)年「北方文芸」創刊。代表作に『北海道風土と文学運動』『昭和文学史論』など。第5回群像新人文学賞(評論)(1962(昭和37)年を受賞。元小樽文学館館長。

高橋揆一郎(たかはし きいちろう)              
1928(昭和3)年〜2007(平成19)年

歌志内出身。代表作に『ポプラと軍神』『伸子』『観音力疾走』など。第37回文学界新人賞(1973(昭和48)年)、第79回芥川賞(1978(昭和53)年)、第11回北海道新聞文学賞(1977(昭和52)年)、第11回新田次郎文学賞(2002(平成14)年)を受賞。

和田芳恵(わだ よしえ)                      
1906(明治39)年〜1977(昭和52)年

長万部町出身。代表作に『一葉の日記』『塵の中』など。日本芸術院賞(1957(昭和32)年)、第50回直木賞(1963(昭和38)年)、第26回読売文学賞(1974(昭和49)年)、第9回日本文学大賞(1977(昭和52)年)、第5回川端康成文学賞(1978(昭和53)年)を受賞。

重兼芳子(しげかね よしこ)              
1927(昭和2)年〜1993(平成5)年

上砂川町出身。代表作に『やまあいの煙』『たとえ病むとも』など。第81回芥川賞(1979(昭和54)年)を受賞。

三浦綾子(みうら あやこ)                     
1922(大正11)年〜1999(平成11)年

旭川市出身。代表作に『氷点』『塩狩峠』『銃口』など。第1回井原西鶴賞(1996(平成8)年)、北海道開発功労賞(1997(平成9)年)を受賞。

李恢成(イ・フェソン/り かいせい)                
1935(昭和10)年〜

サハリン(旧樺太)出身。代表作に『またふたたびの道』『砧をうつ女』『見果てぬ夢』など。第12回群像新人賞(1969(昭和44)年)、第66回芥川賞(1972(昭和47)年)を受賞。

変転する現代

 21世紀の幕が開き、文学・芸術の従来の枠組みは問い直され、ジャンルを越えて活動する表現者が増えている。その一方、伝統的な小説の在り方にこだわりながら作品を生み出す人々も健在である。若い人々の表現手段が多様化するなかで、「文学」が今後向かうべき方向を問うべきときが訪れた。

おもな作家・文学者

加藤幸子(かとう ゆきこ)                      
1936(昭和11)年〜

札幌市出身。代表作に『夢の壁』『池辺の棲家』など。第14回新潮新人賞(1982(昭和57)年)、第88回芥川賞(1983(昭和58)年)、芸術選奨文学大臣賞(1991(平成3)年)を受賞。

原田康子(はらだ やすこ)                               
1928(昭和3)年〜2009(平成21)年

東京都出身。代表作に『挽歌』『風の砦』『海霧』など。第38回女流文学者賞(1999(平成11)年)、第37回吉川英治文学賞(2003(平成15)年)を受賞。

渡辺淳一(わたなべ じゅんいち)                 
1933(昭和8)年〜

上砂川町出身。代表作に『失楽園』『花摘み』『光と影』など。第12回新潮全国同人雑誌賞(1965(昭和40)年)、第63回直木賞(1970(昭和45)年)、第51回菊池寛賞(2003(平成15)年)を受賞。

三浦清弘(みうら きよひろ)                     
1930(昭和5)年〜

室蘭市出身。代表作に『虚空』『カリフォルニアの詩』など。第98回芥川賞(1988(昭和63)年)を受賞。

小檜山 博(こひやま はく)                             
1937(昭和12)年〜

滝川町出身。代表作に『出刃』『光る女』など。第1回北方文芸賞(1976(昭和51)年)、第17回北海道新聞文学賞(1983(昭和58)年)、第11回泉鏡花文学賞(1983(昭和58)年)、第7回木山捷平文学賞(2003(平成15)年)を受賞。

藤堂志津子(とうどう しづこ)                            
1949(昭和24)年〜

札幌市出身。代表作に『熟れてゆく夏』『秋の猫』など。第100回直木賞(1989(昭和63)年)を受賞。

池澤夏樹(いけざわ なつき)                            
1945(昭和20)年〜

帯広市出身。代表作に『真昼のプリニウス』『静かな大地』など。中央公論新人賞、第98回芥川賞(1987(昭和62)年)、第5回伊藤整文学賞(1994(平成6)年)などを受賞。

山口昌男(やまぐち まさお)                    
1931(昭和6)年〜

美幌町出身。文化人類学者。代表著作に『文化と両義性』『内田魯庵山脈』など。第23回大佛次郎賞(1996(平成8)年)を受賞。

倉本聰(くらもと そう)                                  
1935(昭和10)年〜

東京都出身。脚本家・映画監督。富良野塾主宰。代表作に映画「駅/STATION」、ドラマ「北の国から」シリーズ、「昨日、悲別で」など。

澤田誠一(さわだ せいいち)             
1920(大正9)年〜2007(平成19)年

札幌市出身。代表作に『耳と微笑』『斧と楡のひつぎ』など。第2回北海道新聞文学賞(1968(昭和43)年)を受賞。(財)北海道文学館3代目理事長。

木原直彦(きはら なおひこ)                              
1930(昭和5)年〜

厚真町出身。『北海道文學』主宰。代表作に『北海道文学史』全3巻。『北海道文学散歩』全4巻他。第9回北海道新聞文学賞(1975(昭和50)年)、北海道文化賞(2002(平成14)年)を受賞。北海道立文学館初代館長。

 

北海道の児童文学

 北海道の児童文学は、明治期に道外の作家による北海道の風物を描いた作品から始まった。大正に入ると、道内でも児童雑誌が葉悪口され、支部沈黙などの童謡詩人が誕生する。終戦後には多くの児童文学雑誌が刊行され、後藤竜二、加藤多一によって多くの児童文学作品が生み出されている。

おもな作家・文学者

坪松一郎(つぼまつ いちろう)
1910(明治43)年〜1969(昭和44)年

茨城県出身。1928(昭和3)年、江別市に移住。大正期の「赤い鳥」の影響の残る時代に、郷土色豊かな童謡を発表。

伊東音次郎(いとう おとじろう)
1894(明治27)年〜1953(昭和28)年

江別市出身。1919(大正8)年創刊の児童雑誌『小学少年』『小学少女』を中心に多数の童謡を発表した。

支部沈黙(はせべ ちんもく)
1892(明治25)年〜1969(昭和44)年

宮城県出身。1906(明治39)年渡道。三木露風と出会い、北海道で最初の童謡集『ありのお城』(1928(昭和3)年)を出す。

石森延男(いしもり のぶお)
1897(明治30)年〜1987(昭和62)年

札幌市出身。小学校教員時代から戦前・戦後にわたって文部省の国語教科書の編集に携わる。主な作品に『コタンの口笛』や、引揚げ家族の酪農体験を描いた『親子牛』、歴史小説『千軒岳』など。『石森延男児童文学全集』(1971年(昭和46)年)刊行。

辰木久門(たつき くもん)
1913(大正2)年〜

小樽市出身。本名達本外喜治。『海のろうそく』は昭和21年小樽小学生新聞に連載後、1947(昭和22)年、玄文社より刊行された。

渡辺ひろし(わたなべ ひろし)
1912(明治45)年〜1991(平成3)年

東京出身。大正時代より童謡同人誌『チチノキ』誌友。『赤い鳥』に童謡を寄せる。戦後札幌に移り、「森の仲間」創立に参画。『鳩の扇子』『ろばよ走れ』などの童謡集がある。

安藤美紀夫(あんどう みきお)
1930(昭和5)年〜1990(平成2)年

京都市出身。1954(昭和29)年以降北海道津別・北見に高校教師として赴任。その間に執筆した「白いりす」でサンケイ児童出版文化賞ほかを受賞。1972(昭和47)年離道。

長野京子(ながの きょうこ)
1914(大正3)年〜2008(平成20)年

函館市出身。昭和45年に創立された北海道児童文学の会代表として児童文学の普及と新人の育成に尽力。

玉川雄介(たまがわ ゆうすけ)
1910(明治43)年〜

ニセコ町出身。1920年代後半から童話を書き始め、北炭夕張鉱機関紙「炭光」に童話「ハンノキ物語」を発表。

神沢利子(かんざわ としこ)
1924(大正13)年〜

福岡県出身。幼少期を過ごしたサハリン(旧樺太)の思い出を描いた『流れのほとり』や北国の雄大な自然を背景にした長編ファンタジー『銀のほのおの国』『ちびっこカムのぼうけん』など。

加藤多一(かとう たいち)
1934(昭和9)年〜

滝上町出身。北大童話研究会創立に参画。1975(昭和50)年、日本童話会賞受賞作『白いエプロン白いヤギ』出版以後、北海道の農村を舞台に、風土に根ざした児童文学を多数生み出す。

後藤竜二(ごとう りゅうじ)
1943(昭和18)年〜〜2010(平成22)年

美唄市出身。早大の少年文学会に入会。卒業時に書いた「天使で大地はいっぱいだ」で講談社新人賞佳作受賞。自伝的色彩の濃い『離農』ほか今を生きる子どもたちに向けて常に強いメッセージを送り続けている。

北海道の詩

 石川啄木(※)ら20世紀初頭の来道詩人らがもたらした近代詩の息吹に刺激され、北海道生まれの詩人たちが活動を始めるのは1920年代に入ってからのことです。やがて、ヨーロッパ詩の潮流に呼応して、新たなスタイルの詩作を展開する詩人たちが現れます。

※「啄」の表記は、正式には「」です。

おもな作家・文学者

吉田一穂(よしだ いっすい)
1898(明治31)年〜1973(昭和48)年

木古内町出身。代表作に『海の聖母』『故園の書』など。

小熊秀雄(おぐま ひでお)
1901(明治34)年〜1940(昭和15)年

小樽市出身。代表作に『流民詩集』『小熊秀雄全詩集』『小熊秀雄全集』など。

更科源蔵(さらしな げんぞう)
1904(明治37)年〜1985(昭和60)年

弟子屈町出身。代表作に『種薯』『無明』『熊牛原野』など。1980年日本現代詩人会の<先達詩人への敬意>顕彰を受賞。北海道文学館初代理事長。

和田徹三(わだ てつぞう)
1909(明治42)年〜1999(平成11)年

余市町出身。代表作に『和田徹三全詩集』『唐草物語』『和田徹三全集』など。第12回日本詩人クラブ賞(1979(昭和54)年)を受賞。

原子修(はらこ おさむ)
1932(昭和7)年〜

函館市出身。詩集『鳥影』(1967年)で第5回北海道詩人賞。詩劇の創作と国内外の公演多数。

河邨文一郎(かわむら ぶんいちろう)
1917(大正6)年〜2004(平成16)年

小樽市出身。代表作に『物質の真昼』『河邨文一郎詩集』など。作詞を担った札幌冬季オリンピック讃歌「虹と雪のバラード」は、いまなお多くの人々の愛唱歌となっている。

北海道の短歌

 北海道の短歌は幕末期に源を発しますが、本格的な流れは石川啄木の来道によって推進されます。小田観螢、山下秀之助、酒井廣治ら北海道歌壇の基礎を築いた人々に続いて、中城ふみ子、並木凡平、さらには中山周三らに及ぶ多彩な歌人たちが貴重な成果を残しました。1954(昭和29)年に設立された北海道歌人会が、今日までの短歌界の盛況を支えています。

おもな作家・文学者

酒井廣治(さかい ひろじ)
1894(明治27)年〜1956(昭和31)年

福井県出身。旭川歌壇の基盤を作った。

中城ふみ子(なかじょう ふみこ)
1922(大正11)年〜1954(昭和29)年

帯広市出身。代表歌集『乳房喪失』

山下秀之助(やました ひでのすけ)
1897(明治30)年〜1974(昭和49)年

鹿児島県出身。「原始林」創刊。

並木凡平(なみき ぼんぺい)
1891(明治24)年〜1941(昭和16)年

札幌市出身。「新短歌時代」「青空」創刊。

小田観螢(おだ かんけい)
1886(明治19)年〜1973(昭和48)年

岩手県出身。「新墾」創刊。

青山ゆき路(あおやま ゆきじ)
1907(明治40)年〜1993(平成5)年

石川県出身。「潮音」「新墾」同人として活躍。

中山周三(なかやま しゅうぞう)
1916(大正5)年〜1999(平成11)年

札幌市出身。「原始林」創刊に参加。

北海道の俳句

 19世紀初頭に源をもつ北海道の俳句は、中央の俳句近代化の動きを受け、20世紀に入って本格的な胎動期を迎えます。1919年の高浜虚子の来道は伝統系俳人の輩出を促しました。
 戦中期にかけての自由律俳句の隆盛を経て、やがて戦後俳句の太い流れが生まれます。1955年に設立された北海道俳句協会が今日も牽引役を果たしています。

おもな作家・文学者

土岐錬太郎(どき れんたろう)
1902(明治35)年〜1977(昭和52)年

北海道新十津川町出身。「アカシア」主宰。現代俳句協会賞(1967(昭和42)年)を受賞。

齋藤玄(さいとう げん
1914(大正3)年〜1980(昭和55)年

函館市出身。「壷」主宰。

寺田京子(てらだ きょうこ)
1922(大正11)年〜1976(昭和51)年

札幌市出身。「寒雷」「核」同人。

比良暮雪(ひら ぼせつ)
1899(明治32)年〜1969(昭和44)年

小樽市出身。「雲母」同人。

佐々木丁冬(ささき ていとう)
1912(明治45)年〜1977(昭和52)年

札幌市出身。独学の人。『蝦夷歳時記』を1961(昭和36)年から刊行。

鮫島交魚子(さめじま こうぎょし)
1888(明治21)年〜1980(昭和55)年

長野県出身。「ホトトギス」同人。北海道俳句協会初代会長

山岸巨狼(やまぎし きょろう)
1910(明治43)年〜1997(平成9)年

余市町出身。「葦牙」主宰。北海道俳句協会第2代会長

園田夢蒼花(そのだ むそうか)
1913(大正2)年〜2001(平成13)年

美瑛町出身。「杉」「広軌」同人。北海道俳句協会第3代会長

木村敏男(きむら としお)
1923(大正12)年〜

旭川市出身。「にれ」主宰。「杉」「広軌」同人。北海道俳句協会第4代会長

北海道の川柳

 19世紀末の狂句時代に源をもつ北海道の川柳は、20世紀初頭の井上剣花坊(いのうえけんかぼう)らによる新川柳運動の展開を機に活性化します。道内各都市に川柳会が結成され、1910年代に全盛期を迎えました。とりわけ田中五呂八の台頭による新興川柳は、道内作家を刺激し、戦後の活性化へとつながります。1964(昭和39)年に結成された北海道川柳連盟の盛んな活動が続いています。

おもな作家・文学者

神尾三休(かみお さんきゅう)
1883(明治16)年〜1953(昭和28)年

埼玉県出身。北海道柳壇の草分け的存在。1917(大正6)年。「札幌アツシ会」を結成。

亀井花童子(かめい かどうし)
1893(明治26)年〜1958(昭和33)年

函館市出身。函館柳界の重鎮。1918(大正7)年、「渡島川柳社」を創立。「忍路」を発行する。

田中五呂八(たなか ごろはち)
1895(明治28)年〜1937(昭和12)年

釧路市出身。新興川柳の祖。1923(大正12)年、「小樽川柳社」を興し、新興川柳誌「氷原」を創刊。川柳文学運動を展開。

三輪破魔杖(みわ はまじょう)
生没年不明

1913(大正2)年、北海タイムス社に入社。「タイムス句会」を開催。北海道柳壇創始者の一人として活躍。

北村白眼子(きたむら はくがんし)
1895(明治28)年〜1979(昭和54)年

愛知県出身。函館柳界発展に貢献。1931(昭和6)年、「北海川柳社」を創設。『川柳漁火』を発行。

鈴木青柳(すずき せいりゅう)
1908(明治41)年〜1999(平成11)年

函館市出身。1943(昭和18)年、函館川柳社を引き継ぎ、群雄割拠の函館柳界を統一。

古田八白子(ふるた はっぱくし)
1894(明治27)年〜1939(昭和14)年

1923(大正12)年、田中五呂八とともに「川柳氷原社」を興し、新興川柳運動に参画。

甲野狂水(こうの きょうすい)
1898(明治31)年〜1966(昭和41)年

函館市出身。1924(大正13)年、新興川柳「ほのほ」を発行。田中五呂八の主唱する新興川柳に参画。

斎藤大雄(さいとう だいゆう)
1933(昭和8)年〜2008(平成20)年

札幌市出身。札幌川柳社主幹。北海道川柳連盟会長として、「情熱の川柳」を標榜し、川柳界の隆盛に尽くした。

千島・樺太の文学

 千島・樺太の文学は、幕末から明治にかけての探検と開拓の時代、敗戦に至る時代、そして敗戦後から現在に至るまでの時代の3期に分けることが出来る。敗戦後には、ソ連軍侵攻と引揚げの物語、“国境の海”を取材した物語など多くの作品の舞台になっている。 

おもな作家・文学者

寒川光太郎(さむかわ こうたろう)
1908(明治41)年〜1977(昭和52)年

浦幌町出身。代表作に『密猟者』など。第10回芥川賞(1939(昭和14)年)を受賞。

李恢成(イ・フェソン/り かいせい)
1935(昭和10)年〜

樺太出身。代表作に『またふたたびの道』『砧をうつ女』『見果てぬ夢』など。第12回群像新人賞(1969(昭和44)年)、第66回芥川賞(1972(昭和47)年)を受賞。

吉村昭(よしむらあきら)
1927(昭和2)年〜2006(平成18)年

東京出身。100回を超す来道取材を重ねる。『羆嵐」『破獄』など。日本芸術院会員。

夏堀正元(なつぼりまさもと)
1925(大正14)年〜

小樽市出身。新聞記者を経て作家となる。『北の墓標』など。

 

読書コーナー

 このコーナーでは、常設展示室に展示してある本、雑誌の一部を実際に手にとって読むことができ、。ソファーもありますので、ゆっくりとくつろぎながら作品世界を味わってください。閲覧室、収蔵庫にも、北海道に関する図書が多数ありますので、受付の職員にお尋ねください。

作家の自筆原稿コーナー

 このコーナーでは、作家の自筆原稿を見ることができます。引き出しを開けて、じっくりと作家の筆跡と対面することができます。 

新聞コーナー

 ここでは、過去に「北海道新聞」に連載された北海道の文学についての読み物記事をご覧いただけます。スライド式の新聞ばさみから、お好きなものを手にとって見ていただけます。

北海道の文学碑検索コーナー

 文学碑とは作家の創作にゆかりの土地に立てられた記念碑で、作品を永くその風景の中にとどめようという思いから建設されたものです。タッチパネル操作の画面上で、人物名・分野・所在地から北海道の文学碑が検索できます。自分の町の文学碑、訪ねてみたい文学碑をぜひ見つけてみてください。
 また収蔵庫・閲覧室には、北海道の文学碑関係の図書を多数取りそろえておりますのでどうぞご利用ください。

文学館アーカイブ

 道立文学館が収集・保管している文学資料のなかから、主に新着資料をご紹介するコーナーです。展示される資料は年に3回、入れ替えを行います。

 内容等の詳細については、こちらをご覧ください。